年齢とともに「つながり」は減る運命なのか?

30代、40代、そしてその先へと年齢を重ねるにつれて、「学生時代のように新しい友達ができない」「昔からの仲間とも疎遠になってきた」と感じることはありませんか? 仕事の責任が増え、やがて退職やライフスタイルの変化が訪れると、私たちの人間関係は自然と整理され、縮小していくものだと諦めてしまいがちです。

しかし、人間関係の研究において注目されているのは、単に「友達の数」を数えることではなく、私たちが人間関係をいかに能動的に「管理・再編集」しているかという視点です。

28人の人生後半から見えてきた「関係の再編集」

学術誌『Journal of Social and Personal Relationships』に掲載された研究では、現役で働く人と退職した人を含む、人生の後半期にある大人28名(ボランティア団体の参加者)を対象に、年齢や環境の変化に伴うパーソナルネットワークのマネジメント手法が調査されました。

この調査で見えてきたのは、幸福感を保ち続けている人たちが、人間関係の縮小を受け身で受け入れているわけではないという事実です。彼らは自分の暮らしの変化に合わせて、誰とどのような関係を深めるべきかを自覚的に選び取り、ネットワークを再構築していました。

「複層的な絆(Multiplex Ties)」の力

ここで鍵となる概念が「複層的な絆(Multiplex Ties)」です。

普段、私たちの人間関係の多くは「単一の文脈」に依存しています。「会社だけの同僚」「ジムだけで会う知人」「子どもの学校関連の知り合い」。しかし、環境が変わって会社を離れたりジムを辞めたりすると、その関係は一気に消滅してしまいます。

一方、人生後半の幸福度を支えるネットワーク管理では、ひとつの関係に複数の役割を持たせることが行われています。例えば、仕事の同僚を共通の趣味の場に誘ってみたり、地域の活動で出会った人と個人的な悩みを語り合う関係へと育てたりすることです。関係が複数の層で結ばれていると、ひとつの文脈が途切れても関係そのものが壊れることはありません。

もちろん、この知見は28名を対象とした小規模な定性調査に基づくものであり、あらゆる人にそのまま当てはまる法則とまでは言えません。しかし、「大人になってからの友情」を維持するための強力なヒントを与えてくれます。

あなたのアドレス帳で今日からできること

人間関係を豊かに保つために、ゼロから新しいコミュニティに飛び込んで大量の友人を作る必要はありません。

まずは自分のスマートフォンやアドレス帳を開き、普段「ひとつの場所」だけで顔を合わせている人を思い浮かべてみてください。

  • いつも仕事の連絡しかしない同僚に、個人的に興味のある展覧会やカフェの話題を振ってみる
  • 趣味のサークルで顔を合わせる人に、別のプロジェクトや軽いランチを提案してみる

単一の接点にほんの少し「別の顔」を重ねるだけで、その関係は将来にわたってあなたを支える強固な「複層的な絆」へと育っていきます。

出典: https://doi.org/10.1177/02654075261441735